マルガリータの瞳

チェレステにやられる毎日。

ツール・ド・おきなわ2018 100km U39

f:id:cheleste:20181113190822j:plain
やってきました、ツール・ド・おきなわ
去年は集団落車に巻き込まれ、追走で脚を使い切り死亡し、苦渋しかなかったレース。
余りにも悔しかった…というか忘れたくても忘れられなかったので1年間かけて準備してきた。
2018年はこの時のために全てを費やした、と言っても過言ではない。(尚10月だけ)

この年の全てがここに集結するレース。
さて最初に結果から。

ツール・ド・おきなわ ロードレース100km アンダー39
43位/212位 3h1min53sec(リザルトだと3h4min48sec) Ave35.4km/h
AP174W NP221W TSS208 1877kj

うーんこの。
去年と比較すると順位は60位くらい上がってるが、この順位は正直ガッカリ。あり得ない。
最低でもシングルはいくつもりだった。
ただまあタイムは去年より20分以上短縮出来ており、これは驚異的。
去年のあんでいさん(15位)よりも数分速い。
優勝タイムもかなり短縮されていたような。
パワー的にはAPはちょびっとだけしか上がってないが、NPは10以上上がっておりやっとロードレースっぽい踏み方が出来るようになってきたかな?という感じ。
kJは去年より低いが時間のせいかな?まあでもそれだけエネルギーを使わずして走れたのは良しとするか。

以下展開。
当然ながらシード権は無いので普通に並ぶ。前目に並べたので問題なくスタートできた。どうやらチャンピオンレースが例年より早かったようで我々のスタートも去年より早かった。
先にO40組がスタート。続いて我々U39。去年は前に出れずにあの結果になってしまったのでとにかく前に行く。いきなり奥の登りなので高出力を要求されて、スロースターターな私にはちと辛い。300w前後踏まされるがまあイケる。去年より速い気がするが気にしないことにする。先頭はMivroの選手(水谷さん?)が積極的に引いてる感じ。数少ない知り合いであるサイクルフリーダムの西石垣選手(以下西さん)、東選手(以下東さん)の近くにいるようにする。彼らはクライマー体型なので楽そう。
GIROの岡野選手(以下岡野さん)は面識ゼロで一方的に知っていたが、同じくらいの位置にいたのかな?

そんなこんなで奥の登りが終了。去年(6分)より1分速い5分。やっぱり速かったか。
先頭から10番手ほどでクリア。この位置なら問題ないはず。
そして海岸線へ。多少坂があるが下り基調なので70km/hくらい出る。流石に集団なのであまりリスキーなことをしないようセーフティに。慎重に集中しながら下る。
不思議と怖くない。今までの練習で、下りで安全にぶっ飛ばせるところはぶっ飛ばした甲斐があった。
途中何ヵ所かトンネルがあるが、奇声をあげてる人がいて恐怖を覚える。治安が悪いな。
落車しそうなシーンは前の方で2回ほどあったが、どれも大事には至らず平和に推移。
ガンガン前に被されるが、引く気はないのでいかせる。ただ、ポジションは必要以上に下げないように。
楽だな~と思ってサイコンを見ると250wくらい踏んでいたので意外と踏まされていた。こういう細かいところでの脚の残し方が重要よな…。
50番手くらいだったが、気付いたらもう少し番手が上がっていたのでそのまま普久川ダムへ。

ここは最大の難所と言っても差し支えない場所。個人的には先頭集団でクリアすることが最大の関門だと思っていた。
ここさえクリアできれば羽地までいけると確信していた。まあそうはならなかったが…。
手元のタイムを見て、32分くらいだったので50分まで耐えよう!と心に決めて死地へ。
280~320wほどで集団は推移。かなりピリピリしてる感じ。先頭はやはりMivroの選手が積極的に引いている。つええな。流石6倍界王拳の使い手よ。
途中、ガーン!ガーン!という異音が右の方からずーっと鳴ってるので落車か!?と思ったがそうではなさそう。
どうやらギャラリーがガードレールを叩いて応援してる模様。何か叫びながら叩いていたので普通に怖かった。
どうやら各カテゴリーでも目撃情報が上がっていたのでずっといたらしい。
我々の集団はかなり殺気立っていたので気にしてる雰囲気ではなかった。
私もかなり必死だったので視界の隅にちらっと映すのが限界だった。

アップダウンのお陰で集団が緩んでくれるのでKOMまで1kmまでの看板までは耐久できた。位置は20番手くらい。
このくらいのペースなら辛いが千切れるほどではない。昨日の試走の方がまだ体感的に辛かった。まあ集団効果でかなり速く上れていたはず。
「あと1kmならいけるじゃん!」と少し余裕が出てくる。しかし、KOMまで残り500mくらいのところでアタックがかかる。当然、魔剤ンゴ!?となる。流石についていけないので千切れる。
やばい、レースが終わる…いかせちゃダメだ…と思うが脚がかなりキていた。
KIAIで最小限の差に留める。恐らく10秒差くらいだったかと。
やばいやばいと思いつつも、ダムの隣の坂で徐々に差が開く。あー終わったか…と諦めかける。
しかし、 西さん、東さん、岡野さんが後ろに下がってから目にしていなかったので「知ってる有力勢が千切れている」ということが意識の隅っこにあったので、淡い希望がちょびっとあった。
因みにすとらばだとこのくらいのタイム。
優勝者である川田選手と同じ。
f:id:cheleste:20181113190950p:plain
f:id:cheleste:20181113191004p:plain
川田選手と私の違いはその後に如何に脚が残せたか否か。

と言っても見逃していただけで本当は先行していたかもしれないので死ぬ気で追う。集団は20人くらいだったが、今思えばO40組の先頭集団に途中で合流して膨らんでいたと思われる。
だから私のカテゴリーのU39は実質10人もいなかったはず。
下りに入ったのでクラウチングスタイルで突っ込む。時々練習していたが、レースで使うのは初めてなのでかなりドキドキ。不安定な挙動になるのであまり使いたくないが、もうそんな場合ではない。
直線だけクラウチングスタイルでカーブは通常のフォームで。やっぱりクラウチングスタイルはええ。
途中でMivroの方をぶち抜く。下りはあまり速くなさそう。

学校坂に入ったが、流石に脚が回復していない。限界ギリギリのペースで上る。上って下りきったところで集団が見えた。途中でU39の2人を拾って「絶対復帰しましょう!」と鼓舞してローテーションする。
無事に追い付く。…が、U39の集団ではなくO40の集団だった。恐らくその第二集団。
ちらほらU39の人も混じっていたが、先頭はもっと先に行ってるらしい。

ここでもう気持ちが切れた。この集団そのものが遅いし、ローテーションが回っていない。
かといってここから飛び出すような脚もそこまで残っていない。
まじか…こんなところで…と思いつつローテーションに加わる。
本来は脚を使うべきところではないがやれることはやろうと。だが軽く踏んだだけで後ろが離れるので二度見をする…というのを毎回先頭に出る度にやっていた。
流石に溜め息が出た。どんだけ脚貯めたいんだよ。前に追い付きたくないのかよ。
今思えばO40からしたら違うカテゴリーだったので良いペースで引かれたところで特に影響が無かったんだろうなと。
若しくはあれがO40の先頭だったのかな?であればより納得がいく。

そんなこんなで50km地点辺りに。
ゆるゆるサイクリングペースだったのでふんがわで千切れた落武者たち(U39)が復帰してくる。
その中にはあの3人(西さん、東さん、岡野さん)も。
とりあえず西さんに声をかけておく。
「ふんがわ速くなかったですか?」
「今年はめちゃくちゃ速かった。あれはやばい。有力勢大体千切れてましたよ。」
「ファッ!?(ファッ!?)」
じゃあ誰が先頭残ってるんだ…?と頭の中を疑問符でいっぱいにしつつ、西さんたちとローテーションを回す。千葉組の夢の共演。
流石の西さんもあまりのローテーションの回らなさに「ローテーション回して行こー!」と鼓舞していた。
まあそれでも回っていなかったが。どうせみんな登りで踏むから脚を温存したいだけだろうしな。

少し経ってからちょっとした登りに入る。フロントをインナーに入れた瞬間、まさかのチェーン落ち。おいおいこんなところで…と思いつつ「がんばれええええ!」と叫びながらアウターに入れてクランクを回す。ダメでした。
大人しく止まって道路の横でいそいそと直す。
当然のごとく集団は彼方に行き、途中で別の集団にパスされる。どう考えてもこれにはついていかなきゃあかんやつなので、KIAIで踏んで合流する。ゆるゆるペースなので何とか行けそうな感じ。

この後はあんまり覚えていない…。徐々にアップダウンで脚を削られ、完全に左ハムがつってペダルを踏むことすら出来ない状況に。
どうしようもないのでビンディングを外して止まって様子見する。
少しだけもみもみしてリスタート。まあピクピクしてるがいけそう。
その後も左右どちらかのふくらはぎパイセンが死亡。まあ止まりはしなかったが、ゆっくり回して誤魔化す。シッティングするとダメそうなのでダンシングオンリーで回復を待つ。

どうでもいい集団で適当にローテーションを回してると後ろから「集団30名来ます!」とモトバイクからお知らせが。
まあまあでかいが、アナウンスする必要あるほどか…?と思ったがすぐに納得。
140の先頭集団だった。藤田選手やらRXの菊川選手やらがいたので間違いない。
中々速いペース。平坦はついていけるが登りは結構辛い。まあいけるところまで…と思ったら脚のどこかがつる(もうつりすぎて覚えてない)。
グッバイ。勝てよ藤田選手。

紆余曲折あったが、いよいよ羽地へ。
予定ではここでガツンとアタックするはずだったんだけどなあ…と寂しいような情けないような気持ちで橋を眺める。
どうしてこうなったんだろうな…。
何度もつって集団からドロップして、別の集団に復帰してってのを繰り返していたのでかなり順位は下がってるのは流石に覚悟していた。
30人くらいの集団で前10人くらいでローテーションを回していたが、羽地に入った瞬間後ろが全員散っていた。もう登れる体力すら無かったのね…。
生き残った10人くらいでほどよいペースで上る。キツくないペースなのに左の内転筋がじわーっとしだす。嘘だろーと思いながらもちょっと我慢すれば踏めないことはない感じなので、痛みに耐えながらダンシング。
右の内転筋も同じくじわーっとしだす。お前もか。
二重の痛みに耐えながらトンネルを越え、1番の盛り上がりである例の激坂に。
応援してくれるのは有り難いが、非常に情けない状況なので何とも言えない気持ち。
大して速いペースでも何でもないしな。

3人くらいに縮小していたので最後までみんなでいきましょう!とその後のアップダウンをローテーションしながら。
が、どこかの筋肉が悲鳴を上げる。踏みたくても踏めない。「つったー!」と叫びながら左端に寄る。
そのまま彼らは行ってしまう。非情なり。
ここまで来て何やってるんだろう…と思いながら、一人で下る。

最後の直線に入ると、後ろからO40のおじさまが2人。
もうどこがつってもおかしくない状況なので非常に助かる。
予めつってることを伝えてローテーションを回す。
意外と私の脚が残ってることが分かる。
といっても後ろで休めるのは素晴らしい。
イオン坂に入る前に「私登り無理なんで先行ってください」とおじさまが。
「みんなでゆっくりいきましょう!」と声をかけて220wくらいでゆっくり上る。何故か千切れている。
待つか悩んだが余りにも遅いので置いていく。もう一人のおじさまと下りきって、平坦を回す。
途中、140の人がいたので回収して一緒にローテーション。
「割と元気かもしれんわ…」と何故か思い、積極的に前を引く。普通に250w出ていた。
何だ割と踏めるじゃん…と思った矢先に右足のどこかがつる。
最早「あー…」としか思えない。
先に行って下さいと声をかけて、回復を待つ。
左足だけで踏めばいんじゃね?と閃き、左足メインでゴリゴリ踏む。
普通に追い付いたので「左足だけで踏めそうなので大丈夫です」と伝える。

そして何だかんだでゴールまで100m地点。
スプリントしないしない詐欺をして、結局ちょこっとだけやってゴール。
ゴールした時は「ダメだこりゃ…」とだけ俯きながら思った。
お礼をして会場に。
西さんがお母様らしき方(違うかも)と一緒にいたので、失礼して誰が勝ったか聞くが「分からない。僕も色んな人に聞いてますが誰も知らない(笑)とりあえずふんがわのペースがやばかったですね。」ということだけ。

その後も地道な聞き込みを続けてチームメイトに川田選手が勝ったことを聞く。
関西の方らしい。関西圏は強豪だらけだな…。
まあふんがわで15人くらいまで削って、皆で協調して逃げたんだろうな。
聞くところによると、例年はローテーションの面子はほとんど同じで後はぶら下がってるだけで、羽地まででも30人くらいいるらしいし、その展開を嫌って勝負に出たか。
まあ合理的な作戦だわ…。誰もが予想しないだけに。西さんも「まさか」と言ってたし、私もふんがわであそこまでのハイペースを刻むとは夢にも思わなんだ。
本当にロードレースは何が起こるか分からんなー。
だからこそ面白い。来年は必ず勝負に絡めるよう頑張ろう。
勝ちたくなったレースだ。


レース前に戻る。
奥へのシャトルバスの中で、一人だったのでぼーっと考え事をしていた。
もし20位とかだったらどうしよう?とか余りにも結果が悪かったら立ち直れないんじゃないか、などかなり不安だったが杞憂だった。
確かに10月は自転車に全てを注いだ。ある意味常に自転車のことだけ考えていたので楽しくもあったが、本当に辛くて辛くてここまでする価値があるのかと本気で思った。
たかが趣味で、睡眠時間を削って遊びを断り、食事にもそれなりに気を遣い、家に帰っても寝て食べるだけの生活を繰り返し、果たしてこの先に何があるのだと。

多分そこまで大層なものは無い。費やした時間と金に見合うわけもない。だからこそ夢中になってしまうのかもしれない。
プロはそれで飯食ってるからまた別だが、レースの本質は人と競争して勝つ、ということだけ。
シンプルだからこそ不変で何にも代え難い。

仕事でも義務でも何でもないから勝ちたいという気持ちが自然と涌いてしまうのかもしれない。
ただ、この気持ちを忘れたくないとも持ち続けたいとも思わない。
そこにあるからそれに従うだけで、別の要素が絡むと純粋では無くなる。
要は勝ちたくなくなったらそれはそれでいいかなと思っている。所詮遊びだし。
勝負をするのが、勝ちを追求するのが楽しいだけであってそれ以上は無いと思う。

あかん、まとまらなくなってきた。
要約すると来年のおきなわの勝利に向けて頑張ります、以上。
レース以外のお話は別の記事にて。
f:id:cheleste:20181113191237j:plain