マルガリータの瞳

チェレステにやられる毎日。

ツール・ド・おきなわ2019 140km オープン

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この日がやってきました。
1年の集大成、2019年シーズンの全てが終結するレース。

目標は勝利。昨年100kmでボロボロだったが、待つまでの時間が長すぎるのとトラックで運ばれる間にフレームが破損するという話を聞いて140kmに変更。
レベル的にも140kmが丁度良いと思ったのもある。
結果的に100kmはシマノドリンキングの白石選手が勝ってたので140kmで正解。あれは勝てない。

さて最初に結果から。

ツール・ド・おきなわ ロードレース140km オープン
25位/209位 3h49min33sec Ave37.4km/h
AP172W NP235W TSS279 2329kj
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全然届いてねえ。話にならない。
ただ去年の優勝タイムより3分くらい速い。
どんだけレベル上がってるんだよ、、、
酷いリザルトだが以下レースレポート。

因みにシクロワイヤードに私の存在が示唆されていました。
疑いようもなく佐藤選手は間違いなく最強でした。直接お伝えいたしましたが、ここでも。おめでとうございます。
https://www.cyclowired.jp/news/node/314605

昨年100kmのシード権を獲得したが、100km含め他カテゴリーの流入組が多かったせいかシード権は無し。
今年から140kmはマスターズカテゴリーが新設されたが、層の厚さは変わらなかった模様。
というかオープンの層が厚すぎる。

【スタート前~スタート】
5時辺りに起床しておにぎりを何個か貪る。前日にしっかりカーボローディングしているので軽めに。
駐車場から出れない謎トラブルがあったものの6時前に宿を出発。
暗い中自走する参加者を横目にスタート地点の道の駅ゆいゆいに7時前辺りに到着。もう既に50台くらいチャリンコが並べてあった。はええ。
駐車場が少し離れていたのと車から出るのにダラダラしてしまったのでアップは無し。スタート地点までの僅かな道のりで軽く回すだけ。疲れは無いが調子が良いのか悪いのか全く分からない。

適当なところにチャリンコを置いて出走票を提出。
何度かトイレに行きつつ知り合いのカマチさんとヤオさんと談笑しつつ時間を潰す。
シード権があるむとう君は良いが、それ以外の3人が来るのが遅い……。まあ元から単騎で戦うつもりだったので一緒に居なくとも問題はないけど不安になってくる。
しばらくするとふらっとスタート地点に3人が姿を現した。トラブルがあったのかと思ったがそういうわけでもないらしい。安心。

もうしばらくするとむとう君もすーっとやって来た。
強者の風格を漂わせていた。期待しているぞ。
ストレッチしつつ余剰分のスポーツ羊羹をもぐもぐ。
最後の軽量化をしに行って戻ると何やら始まるっぽい雰囲気。
おや定刻より早いぞ。小走りでチャリンコの元へ急ぐ。間に合った。何やら他カテゴリーの通過が早かったようで繰り上げになったらしい。待ち時間が減るのは有り難い。
隙を見て前に上がっておく。シード権組がすぐそこにいる位置。悪くない。懸念事項が減った。
すると隣に見知った顔が。masaraさんだった。暗いところでしか会ったことが無かったがすぐに分かった。
ご家族がめっちゃ応援してて和んだ。一緒に行きましょう!とお互いに健闘を祈りつつスタート。
作戦はシンプル。羽地でアタックして逃げ切る。1発に賭けるのみ。

右に前に上がる流れがあるので、上手いこと2人でじわじわ右に流れていき前に隙間が出来た瞬間に一気に前に上がる。先頭に出ると悪目立ちするのでその手前付近で踏み留まっておく。
あくまでもフンガワで何か起きた時の為の位置取りなので脚を使わずに。
5kmほど平坦を集団がひた走る。特に動きも無く最初のセレクションであるフンガワダムへ突入。
今までここを先頭で抜けたことが無いので少し緊張。
やるしかない。

【フンガワ~奥】
流石に1本目からペースが上がるわけないだろと思っていたが序盤から中々のペースで推移。5倍弱くらいだったか?
このくらいの強度で散々練習してきたので遅れるほどではないが、結構きつい。
内房の古谷選手が前を引いて…いや逃げつつあるのが見えた。相変わらずゴリゴリに踏みますなあ…。
どうやらこの辺りで2名の逃げが発生していたらしい。
面子はチャリダーのきょうしろう選手、あと高校生の留目選手(若いとは思ったけど高校生か!)。
少人数なので集団は容認。
逃げに乗せてない有力チームはRX。
人数揃えてるRXが集団コントロールするのかなと思ったけどそこまでしていなかったような?
まあここでコントロールしなくても吸収出来ると踏んだか。確かに有力選手が周りに死ぬほどいるし、勝手に仕事してくれそう。


途中でこばやしさんとむとう君に遭遇。こばやしさんがここにいるとは!調子良いのかな?
むとう君に「ペース早くない?きついわ」と話し掛けると「きついですね(まあまあきつそう)」と返ってきた。
まあ会話出来るのでお互いにそこまで限界走ではない。が、1本目からこのペースだと先が思いやられる。
周囲も「きつくね?」「何か早いな 」とか言ってた。
にしむらさんとあらたさんはスタートから姿を見ていなかったので乗り遅れたっぽい。
まあ2人とも着順争う気は全く無さそうだったので、想定内。
トラブル無くゴールすることを祈る。
そういえばRXの誰かがチェーン落ちしてた気がする。

すとらばだと17:40。
あんだけ早かった昨年の100kmより5秒早い。
因みに昨年は210km含めて100kmのフンガワが最速タイムだったはず。
それよりももっと速く感じたが意外とそうでもないな。
出力的には平均261w程度。4.5倍くらいかと思ったら意外と低いな。
最後の方はちょっとペース下がったのかも。まあNPにしたらもうちょい高いか。
いずれにしても練習よりはきつくなかった強度だったらしい。きつかったけどなー。

ダム付近にて1回目の補給ポイント。
流石にまだ2本とも残ってるのでここはスルー。
左に曲がって奥へと向かう。沖縄本島最北端へ。
奥の登りまでは微妙にアップダウンがあるので集団が安定しない。が、やることないので隙を見て補給。
どうせここでは何の動きも無いだろう。
1本目の登りで消耗したのか集団はしばらくサイクリングペース。
おいおい折角上げたのにこれじゃ後ろ追い付かれるけど…。
まあ元々100人くらいの大集団だからさほど変わらないか。
逃げとのギャップは1分くらいだったか。まだまだ射程内なので焦る理由もない。

そして100kmのスタート地点の奥共同販売店へ。
1年振りだなーと思いつつパス。が、カラーコーンが道に並べられてるのを忘れていた。
当たりそうだなこれと思いながら、走行ラインを少しずらそうとしたら2つ前の選手がカラーコーンに接触
おいおい何やってんだと思ったら、走行ラインに赤い異物が転がってきた。
まじかと思いつつカラーコーンの動きを冷静に見てギリギリでかわす。あぶねえ。
後ろ大丈夫かなと思ったら案の定衝撃音が。
流石に後ろを見る余裕は無く、音で判断するしかないがそこまで大きい落車じゃない。2、3人か?
ただ、それなりに怪我を負ったはず。早期の快復をお祈りしております。
恐らくそこでブレーキしてギャップが広がって追い付くのに脚を使った選手もいるはず。ギリギリだったが前目で展開して損は無かった。

【奥~フンガワ(2回目)】
奥の登りは淡々と。まあまあな強度だったが、これで脱落するのはフンガワで出し切った選手だけだろう。
むとう君は結構きつかったらしい。
すとらばだと10:01。平均250wくらい。
4倍ちょっとだからそんなにきつくない。
ここは結構きつかった選手が割といたらしい。
COWの加藤選手が爆上げしていたらしいが、去年の100kmがこのくらいのペースだったのでまあこんなもんだろと思っていた。

特に動きもなく海岸線へ。2回目のフンガワはペースが上がるという噂もあったし、これだけ選手層が厚いと嫌でもペースが上がるだろう。
前から10番手辺りまで上げたかったが、まだローテーションに入るつもりは無かったし、登りで番手を上げられる自信があったのでポジションは下げずに淡々と。
動きがあったら対応出来るように集団の先頭付近は常に見ておく。
多分余裕を持って補給を出来るのはここが最後なので、出来る限り補給しておく。

しばらくして2回目のフンガワへ。
50番手くらいだったかな。さあ来るぞと身構えたが一向にペースが上がらない。
おかしいなと思いながら淡々とペースを刻む。4倍くらいだったかな。
むとう君が近くに居たので雑談をしつつ。
途中で前の選手が隣の選手に怒鳴っていた。大変だなーと見ていると近くにいた北野選手が苦言を呈していた。
すると怒鳴った選手が素直に謝罪をしていた!!(笑)
周りの人も流石に笑っていた。暑さで頭がやられてましたと釈明をしていたが、怒鳴られた選手が「私も疲れてて怒鳴られたことが良く分かってませんでした」と返していた。
色んなことがあるな。

本当に何も起きずKOMまで数kmのところまで到達。
マジで緩いなと思いながら先頭付近にすーっと出る。
下りは先頭付近でこなしたかったのと補給を安全に確実に取りたかったので。
後ろを振り返ると結構間が空いていた。嘘やろ!?
4.5倍くらいしか踏んでないんだけど…。集団の中から「流石にあれは付いていこう!」と苦笑混じりに声がした。
流石についてきてくれ。
少し脚を緩めて集団を待つ。集団が追い付いてからはローテーションしつつKOMへ。ペースが上がったのでついていく。きついな。
2回目の補給ポイントへ。1年前に受け取ったおきなわボトルをリリース。グッバイ。飲みづらかったからあまり使わなかったけど。
ちょっと番手を下げてしまったので、取りづらい位置になってしまった。やべえ。
すいませんと言いつつ少しずつ左端のラインへ入れさせてもらう。リアが若干ハスられる。申し訳ございません!無事ボトルを受け取る。

【フンガワ(2回目)~学校坂】
下りへ入る。湾岸の雑賀選手が「下りは俺引くわ!」とさっと先頭で入ってくれる。210kmで戦ってきた選手なので信頼しかない。
番手で下りたかったが、被されて少し後ろに番手を下げてしまった。まあこの位置なら問題ないか。
下りはちょっとでも迷いがあるとすぐに遅れる。恐怖心をねじ伏せてギリギリ安全ラインでかっ飛ばす。
後ろを見ると集団が縦一列に伸びていた。後ろは埋めるのに脚を使うなこりゃと思った。

まだ逃げは吸収出来ず。タイム差は1分くらい?
モトバイクなら伝えられる秒差がコロコロ変わるので誰かが「それ本当?」って聞き返していて笑った。
疑う気持ちは分かる。
後から気付いたが逃げは2人増えて4人に。
内房の古谷選手とCOW群馬の加藤選手。いずれも有力。
逃がしてはいけない面子である。
私はあんまり前に居なかったので状況が全く分からなかったが、この辺でRXと湾岸が協調して追走をかけるべくペースを上げていたっぽい。
そして学校坂へ。そろそろ勝負どころなので覚悟は決めた。
結構なペースで推移。5倍くらいだった。
まあ予想通りなのでついていく。そろそろきつくなってくる局面だが、割と余裕があった。
こういうコースレイアウトは房総で死ぬほど走ってきたので体が慣れているんだろう。
すとらばだと5:36。それなりに早い。

それでも集団はあまり変わらず。中々粒ぞろいだな。
このままゴールまで行くとは思えないが、私にとっては歓迎すべき展開ではない。
ゴールスプリントまで持ち込まれたら負けだ。何があっても独走か少人数で逃げなければ。
だが私は単騎。元々羽地までは一切動くつもりは無いし、ここで焦って動いても最後まで保たないだろう。
むとう君が同じ集団に居るが、彼は彼のレースをしている。十分な力はあるが戦力としては期待出来ない。
一人で戦う旨は彼にも伝えてある。これでいい。

【学校坂~慶佐次】
学校坂を下った後は細かいアップダウン。
ここも地味にかかる。焦らず淡々とついていく。
じわじわ削られていく感触。だがこういうのは散々やってきた。恐らく周りの方がしんどいはず。
途中でうっすら下っている緩い右カーブのところで落車。
またか。140kmはこんなに多いのかな。
要注意選手である北野選手がペダルからクリートを外して脚をブラブラさせていた。
まさかと思ったが結構きつい強度でレースが進んでいるのか?
まだまだ余裕があったのでこの辺で調子の良さが段々と分かってきた。
というより過去最高に強い気がする。
北野選手は調整を失敗したようだったし、相対的にそうなっただけだったが。

気付くと慶佐次に突入。
ここもセレクションがかかるので前目で展開する。
というかこの頃には気付くと大体前の方に居た。
5倍くらいで淡々と登る。逃げが見えたので先頭に出てペースを上げて逃げをキャッチ。
ここで誰が逃げていたかをようやく把握。
逃げすぎである。最後まで行くとは思わなかったがもっと早く捕まると思ってた。

知り合いの内房の古谷選手にご挨拶をしておく。
結構きつそうで「後は頼んだ!」と言っていた(笑)
いやいや何言ってるんですかと返してバトンタッチ。カウンターではないが、じわっとペースを上げる。
逃げていたのはいずれも有力。ここでふるい落とせるなら落としたい。
ただ吸収される前にペースを落としていたようで逃げ組は落としきれなかった。残念。
湾岸の雑賀選手とRXの菊川選手も同調してくれる。助かる。

いつからだったか覚えてないが数名の逃げが発生していた。
雑賀選手が大体「あれは逃がしてならんー!」と言うので逃げはチェックしていたがいつ逃げてたかな。
雑賀選手と石橋選手が一気にアタック。クソ強烈。
逃げにブリッジする動きだ。これは行かせてはいけない。
というか湾岸がここで動くのはかなり危ない。何が何でもチェック。
キツかったが500wくらい踏み倒してどうにかブリッジ。
後で見たら瞬間900wくらい踏んでたらしい。
3人の追走となった。上手く隠れようとしたがバレたので大人しくローテーションに入る。
「練習(td55)よりキツくないやろ!」と雑賀選手。
確かにあれよりはキツくないかも。「はい!」と返事。

後ろを見るとじわじわ追いかけてきている。
が、結構なインパクトだったようで集団が縦一列に。
これで落ちた選手もいたらしい。むとう君はこれで千切れかけた模様。耐えて偉いぞ。
登り終えて確か最後の補給ポイント。前がほとんど居ないのでストレスフリーでボトルをリリースしてキャッチ。この辺で何人かは後ろも追い付いていた。

そのまま下りに入る。前にRX2名。これなら安心して下れる(フラグ)。
ここの下りは片側車線が工事の影響で潰されているのでかなり危険。分かっていれば何てことはないが。
その片側車線ゾーンに入る。先頭で良かったーと思いつつパス。
ただRX2名がちと早い。攻めすぎじゃないか?
私にとってはオーバースピードだったので減速。と思ったら次の瞬間先頭のRXの選手が滑って落車。
その後ろのRXの選手もそれを回避すべく落車。
(恐らく)ヴェンジが道路に転がってくる。避けないとレースが終わる。まだ動いていたので冷静に走行ラインを見極める。
意外とパニックにならずにこのラインを通れば大丈夫だなと判断できた。今思うと何でこんな冷静だったのか謎。集中してた?のかな。
何事もなくヴェンジの脇をパス。危ねえ。全てが終わるかと思った。
ここでようやく後ろの心配をする。しまった、サインを出していない。
真後ろから落車音。やってしまった。確か後ろは雑賀選手だったはず。
ここ最近で一番お世話になっていたので申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
非常に痛ましい。3名の早期の快復をお祈りしております。(他にもいたらすいません)

【慶佐次~羽地】
下りきって源河に。
優勝候補が3名も一瞬で脱落した。RX、湾岸は万事休す。
チャリダーが優勢になった。佐藤選手とゴローさんがいるのでかなりまずい。ゴールまでズルズル行ったらスプリントに強い佐藤選手に負ける。
と言っても羽地で引きちぎる以外無い。
その後は有銘、カヌチャと短い登りで集団に少しずつダメージ。この辺でじわじわ脚に来ているなと感じた。
まだ限界では無いが確実に近付いている。
というかこの辺はあんまり記憶にない!!

羽地前の平坦に入る。ここで逃げる選手もいるので割と危険。
私もそれを検討したが止めた。余裕はあったが、まだ30人近い集団だったので追われて無駄足になる。
というかちょこちょこペースが上がっていたので実際にいたっぽい。逃げが出来ても何か出来る位置にいなかったが、ここでいい。プラン通りにやろう。
腹を括る。決めていたポイントで勝負を決める。それしかない。
覚悟が決まると不思議と頭の中がクリアになる。
というかレースのことじゃなくてここ数ヶ月頭を悩ませていることを考えていた。
ここで書くような内容じゃないが人間関係とだけ。
沖縄から帰ったら1歩踏み出すことにしている。絶対に何があっても帰らねば。

さて今の状況を確認。
ここまで来た。こんなに事が上手く運ぶとは思わなかった。
すべてはこの時の為に準備してきた。
今は最終局面まで残れたことがただ嬉しい。
私は今までよくやってきた。中々結果が出ず、強豪選手に揉まれて心をへし折られたことも何度もあった。
10月半ば頃はもう無理だと半分諦めていた。思っていたように仕上げられなかったし、この面子の中で勝てるわけがないと。いや冷静に考えて無理だし。

でもやると決めた以上はやり切る以外ない。
勝つしかないんじゃない。勝ちたいだけだ。心に従ってここまで来た。
「いつか勝ちたい」のいつかは永遠に来ない。今しかない。
そう思って練習してきた。価値があるかどうかも定かでない勝利だけを求めて。

【羽地~ゴール】
若干牽制状態でダムに突入。
登りに入ってからはペースがぬるっと上がる。
気付いたらダンシングをしていた。チラッとサイコンを見ると6倍くらい出ていた。行くしかない。
一気に行くとチェックされるのですーっと横から飛び出す。
中々先頭から抜けられない。5倍以上出てるな。
焦らず前だけ見てリズムを刻む。
少しずつ集団が視界から消えていく。後ろが来ているか見たかったがそのまま行く。キツいが限界ギリギリの一定ペースで。
うわ本当にアタックしちゃったよと心が躍る。
今レースを動かしているぞとテンションが上がる。
意外と脚残ってて良かったとちょっと安心。少し兆候があったのですぐに脚がつる可能性もほんの少し考えていた。

この場面でこの出力。
決定的ではないかもしれないが、有効打のはず。そうあってくれ。
トンネルが見えてくる。後ろから全く音も気配も無かったが、後ろを確認。
チャリダーの佐藤選手が後ろに居た。あの黄色いジャージはしばらく忘れられないと思う。
嘘だろと膝から崩れ落ちそうになる。私をパスして「(逃げ)いけます?」と涼しそうな顔で聞いてきた。
「無理です!」と即答。実際めっちゃキツかった。
佐藤選手がそのまま行ってしまう。
レースが終わる。負ける。もう勝てない。色々な思いが駆け巡る。
5倍以上はどうにか維持してそれ以上離れないように踏ん張る。
後ろは縦一列になっていたし、中切れもあった。
もしかしたら2人で逃げられるかもしれないと思いながら。

トンネルに入って右折する前の時点では5人くらいすぐそこに来ていた。
この時点で絶望に心が支配される。無理だ。
人がいっぱいいる例の坂に突入。凄い応援だ。
佐藤選手の番手について頂上へ。本当にキツかったがどうにか耐えた。
もう勝てないとはほぼ諦めていたが最後までとりあえず行くしかない。
短い登りを何個かこなして下りへ。
この頃には後続も追い付いてほぼ振り出しに。
勝負を決めきれなかった。ゴールスプリントに持ち込まれたことがほぼ確定。

挫けた心をどうにか踏ん張らせてローテーションに入る。
どの動きが勝ちに繋がるかまだ分からない。無駄かもしれないが、脚が動く内は動かす。
あんなにヘロヘロだった内房の古谷選手が普通に前を引いていてビビる。強すぎるわ。
千葉勢夢の共演ということで一緒にローテーションを回す。
平坦に入る。牽制状態の中、形だけのローテーションを回す。

そしてイオン坂へ。ここが最後の坂。少しでも勝ちを引き寄せるならここでも動いてダメージを与えるしかない。
が、脚が既にヤバい。かなりピクピクしている。
先頭古谷選手、私、ゴロー選手の順番で登りが始まる。
一旦下がって回復しよう…と弱気になって、交代のジェスチャーを出す。
すると後ろにいたゴロー選手が「ここで中切れしてんじゃねえよこのカス野郎」と叱責。
カス野郎であることは間違いないし、怒るのは当然だが、その言い方は酷すぎるのでは?
ふざけんなクソがと頭に来た。来てしまった…。
言い返すという発想は無かったので、ゴロー選手をガン見しながら地味なアタックをかます。というかヘロヘロのペースアップ。
カス野郎のアタックですけど?みたいな顔をしながら。
そして唐突に限界が来た。両足のハムストリングが強烈につる。
こんなところで…。
大人しく左端に寄って集団に行ってもらう。
流石に心配してくれたようでゴロー選手が「大丈夫か!?」と声をかけてくれた。「大丈夫です!行って!」と返事をしておく。
集団の中にむとう君が居ることを確認。ここまで目立った動きはなかったが、後は託した。

中切れしかけたことは間違いないので、後で謝りに行こうと思って探したけど居なかったんだよな。この場を借りて謝罪いたします。本当に申し訳ございません。
まあどこかで会ったら謝ろう…。

何はともあれ安い挑発に乗ってしまってレースが終わった。
痛すぎて脚を動かすことすらままらない。
引くほど遅いスピードでイオン坂を後にする。本当に痛い…。きつい…。レースどころじゃねえ…。
後ろを見ると全然人が居ない。本当に先頭集団だったんだな。

3kmが長く感じる。どうにかいけるような感じになってきたので、踏み始める。
2人来た。1人は同じカテゴリー。若い。もう1人は…RXの西山選手!
ご無沙汰しておりますと声をかけると一拍置いて「ああー!」となった。
覚えていてくださって光栄です。脚つりましたーと伝えてローテーションに入る。
というか先頭を引く。もう着順はどうでもいいので固定で。
あー踏めるなあ…踏めたなあ…と思っていると右足のふくらはぎがつる。そこもかよ。
先に行ってもらう。すいません。

痛すぎてどうにもならないのでペダルからクリートを外す。
左足だけでペダリングをして進む。非常に情けないがこれしかない。遠いなゴール。
しばらくすると治ってきたのでペダルにクリートを嵌める。
よしよし行けそうだ。
するとまた後ろから2人来た。どっちも同じカテゴリー。
もうどうでもいいので前引きますと声をかけて先頭でゴールまで。
少しでも良い順位が欲しいだろうと先に2人を行かせる。
もう何位でも同じだ。そしてゴール。25位。
終わった。1年の集大成が、2019年が終わった。

【その後】
むとう君は集団に沈んで17位。限界だったんやな。
残念だが良く頑張った。次はもっと動けると良いね。
ゴールまで残ってくれたのは嬉しかったよ。
一緒に戦えなかったけど同じ集団にいてくれて心強かった。
他の3人は無事にゴールしてくれて何よりです。割と心配してました。

あらたきさんも勝てず。でも安定の上位。
落車に巻き込まれたようで悔しそうだったな。
私より悔しかったはずだ。私はあの領域に少しでも近付けただろうか?

<反省>
チームからは5名参戦だったが、実質単騎だった。
それは分かっていたしその前提で作戦を組んでいたが、序盤~中盤は動けるわけもなく動くつもりもなかった。展開にただ身を任せていた。
たまたま展開がそうなってくれただけで脚を使わずに羽地まで残れたが、そういう展開にならなかった場合は何も出来ずに終わっていただろう。
今思い返すと現実的な作戦ではあったが、他力本願で後ろ向きだったなと思う。
流石に逃げに乗るのはやりすぎだが、もっと要所要所で仕掛けて集団を削る動きをしていれば何かが変わったかもしれない。
自分の脚を削ることにはなっただろうし、あの日一番強かったのは佐藤選手であるのは間違いないが。
もっと早期から展開に絡めるような選手になろう。
中盤以降、要所でチェックしたりアタックしたのは良かった。羽地までにもっと人数を絞れればより良かった。

最後の脚つりが無くてもスプリントで負けていただろうなという容易に想像出来るので、ここは反省も何も無い。
でも最後まで諦めずに走れれば良かったな。
ゴールまでは勝負は分からない。
自分の武器を信じたのは良かったが、信じすぎた。
高岡選手がレポートで触れていたが、レースは水物。
展開に合った一番勝てそうな動きをする、というのが最適解なんだろう。
自分の武器がダメでも展開に合った戦い方をしなければ勝てない。

ということで2019年は終わりました。
まだレースは残ってますが一区切りということで食欲を爆発させております。
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昨日はこれ食ってきました。特盛で900円。全然足りなかった。
シマノドリンキングではない白石おじさんが「おきなわお疲れ様」ということで奢ってくれました。ありがたや。

とりあえず来年もおきなわは出ますが多分210かな。
140は単騎で戦うにはしんどい。来年はよりチーム戦の様相を呈するだろうし。
その前にニセコ150kmか。そこをターゲットに励んでいきたいココロモチ。
今年は一気に強くなった年だったが、まだまだフィジカルが足りていない。
オフシーズンは地道にフィジカル強化に努める予定。
まずは5w/kg越えないと。もう少しなんだけど壁が厚い。

何はともあれお疲れ様でした。
一緒に練習してくれた長柄の民の方々、td55練の方々、本当にありがとうございました。
職場の方々にも休みを取らせてもらい非常に迷惑をかけてしまった。良い結果を持ち帰れなかったですが、ありがとうございました。
またゼロから積み上げていきます。
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photo by nishimura san

にしむらさんの写真、マジでフリー素材みたいで凄い。